こんにちは、かずMRです!!
ある日、先輩が得意先に同行してくれて、面会後にフィードバックをくれました。
『あんなにスラスラ話せてすごいね。淀みがなかったよ。』
嬉しい言葉だった。けれど、その直後——
『ただ、“間”がすこし足りないかな』
え?
『先生との沈黙、怖いんでしょ?』
ギクッとした。
そう、私は先生との会話が途切れる瞬間が怖かったのです。
だから、毎回面会前に1人で車の中でロールプレイをして、1秒でも長く話せるように資料を詰め込んでいたんです。
『”沈黙”を楽しめ。そしたらもっと良くなるよ。』
そう言って、先輩は静かに笑ったのです。
「うまくいっている面会」に違和感を感じ始めた
「”沈黙”を楽しめ」
その言葉が胸に残ったまま、私は過去の面会を思い返した。
確かに、面会では伝えたいことをしっかり伝えて、先生も納得してくれているように見えました。
でも——
「あれ? 先生の“本音”って聞けていたのかな?」
「自分の話で気持ちよくなっていただけじゃないか?」
そんな違和感が心に芽生えたのです。
会社のメッセージを“上手に伝える”だけのMR
私は、会社から言われたメッセージを、きれいに自分の言葉に置き換えて伝えていました。
けれど、そこに私自身の存在価値はあったのだろうか?
「その話し方、誰がやっても同じでは?」
そんな問いが、心に引っかかったのです。
先輩の面会スタイル:資料1枚で30分以上
一方、先輩の面会はいつもほぼ手ぶら。
資料1枚だけ持って先生のところへ行くきます。
それなのに、30分、長いときは1時間以上、先生と話し込んでいるんです。
しかも、大した内容ではない資料にもかかわらず、先生の方から次々と質問や症例の話が飛び出してくるのです。
分析の結果、答えはやっぱり「沈黙」だった
先輩の面会を冷静に思い出してみた。
結論:「やっぱり“沈黙”がヒントだった」
先生が黙る時間、視線を外して考える時間——
それを、私はずっと怖がっていました。
「沈黙」を数えて待つ。そこから始まった変化
先輩からこう言われたました。
『先生が黙ったら、心の中で数字を数えてみな?』
面会中、先生が沈黙した瞬間に、私は心の中で「いち、にー、さん、しー…」と数えて待ってみました。
すると——
『あー、なるほどね。つまりさ〜このデータって…』
あまり話してくれなかった先生が、突然語り出したんですよ。
私はちょっと感動したんですよ、その時。
やっぱり、“沈黙”が、会話のカギだったのです。
なぜ「間」が先生の言葉を引き出すのか?
私たちMRは、毎日同じ製品の情報を繰り返し見ています。
でも、先生は違う。
何百もの薬の中から、たまたま今日自分が説明する製品について考えなければいけないのです。
そのためには、「薬の情報を思い出す時間」「対象の患者を思い浮かべる時間」が必要なのです。
その“時間”を奪っていたのは、私でした。
“間”を知って、面会は激変した
この経験をきっかけに、私の面会は激変しました。
- 準備する資料は最小限に
- メッセージは絞り込み、先生と一緒に考える時間を確保
- 面会前の過度な緊張も減った
「しゃべらなきゃ」から「一緒に考えよう」へ。
営業の本質が、少し見えた気がしました。
同時に、先生のニーズや本音が見えてきて、
次の面会やアクションにもつながるようになってきたのです。
社内や家庭でも「間」は効く
この「間」を取る技術、実は社内や家庭でも使えます。
会議で部下が黙った時、すぐに自分が話していないでしょうか?
家族との会話で、返答を急ぎすぎていないでしょうか?
少しの沈黙を置くだけで、相手の本音や気づきが出てくることがあります。
周りからの見え方が違う
皆さんの周りの人で、なんか威厳あるなって人を想像してみたください。
その方っておしゃべりですかね?
私が今まで会った威厳のある人って、みんな無口なんですよね。
その分、何か話した時に周りの人がより注目してしっかり話を聞きます。
口数を減らして、ゆっくり話すだけで全然周りの印象が変わりますのでぜひ試してみてください。
まとめ:「沈黙を楽しめ」
『沈黙を楽しめ』
あの先輩のひとことは、今でも私の中で響き続けています。
営業だけでなく、人生にとっての“金言”です。
もうすぐ、その先輩は定年退職を迎えます。
最後にもう一度だけ、同行して一緒に沈黙を楽しみたい——そう思っています。
では、また!!
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