こんにちは、かずMRです!
私は年間で主幹講演会を約10本ほどコンスタントに企画しています。
地方の大学病院を担当していることもあり、講演会企画は自然と私のところに集まってくる状況です。
最初の頃は、正直「先生からの依頼にどう応えるか」で精一杯でした。依頼が来るたびに慌てて動き、なんとか形にするだけ。
でも、ある時からスイッチが切り替わったんです。
「講演会って、“頼まれるもの”じゃなく、自分で“仕掛けるもの”なんだ」と。
それからは、単に“言われたことを形にする”だけでなく、病院・先生・患者の三方にとって本当に意味のあるテーマとは何かを考えるようになりました。相手がまだ気づいていないニーズを掘り出し、ファカルティーの先生方だけでなく、聴講者、そして全国のMRにも気づきを与えられるような講演会を目指すようになったんです。
この記事では、私がその過程で体得した
「講演会をコントロールする思考法と実践手順」をまとめます。
正直、まだ感覚的にやっている部分も多いのですが、だからこそ、一度言語化して整理しておきたいと思いました。
第一にすべきは「エリア課題の抽出」
講演会をいざ「やろう!」と思っても、
その瞬間からテーマを考えるのでは遅い。
本当に価値のある講演会は、日々の情報収集や面談の中から自然に芽生えるものです。
つまり、普段からエリアの課題を常に頭の片隅に置いておくこと。
これがすべてのスタートになります。
- 「最近この疾患の治療法が煩雑で治療方針が揺れているな」
- 「この病院では○○のAEに関してフォローアップ体制に課題意識があるみたい」
- 「先生方が共通で悩んでいるのはこのタイプの症例の扱い方かもしれない」
──そんな“違和感”をキャッチした瞬間が、講演会企画の種なんです。
会議で「さあ、みんなで講演会のテーマを考えよう」と集まっても、
正直、良いものはなかなか生まれません。
表面的なアイデアや他社の後追いテーマになりがちです。
課題は現場に落ちている。
それを拾い続ける習慣が、講演会の質を左右します。

企画は“その場の発想”じゃなく、“日常の蓄積”からしか生まれないんですよね
課題が見えたら、“自己調査”で確信を深める
課題の仮説が見えてきたら、
次にすべきは「聞く」ことです。
自分の中で「これが地域の課題かもしれない」と感じても、それが本当に“エリア全体の傾向”なのか、
それとも“特定の先生個人の悩み”なのか──
ここを見極めるのが大事。
面談の中で、関連する先生方に少しずつ聞き取りをしていく。
たとえば、
- 「最近この治療方針、どうされてますか?」
- 「○○の対応って施設によって結構違いません?」
といったさりげない質問から、実は多くのヒントが拾えます。
こうして少しずつ話を集めていくと、
課題の輪郭がだんだん浮かび上がってくる。
そして同時に──
「誰をファカルティー(座長・演者)に置くべきか」
も見えてくるんです。
現場の声を最も理解していて、そのテーマを語るにふさわしい先生は誰なのか。
聞き取りのプロセスが、そのまま講演会設計の地図になります。



結構大変で地道な作業なんだね



そうだね。でも、課題を見つけて誰に解決してもらうかを考える時間って一番ワクワクして楽しかったりもするよ
ファカルティー(演者・座長)選定の考え方
ここからが腕の見せどころです。
テーマが見えたら次に考えるのは、“誰に語ってもらうか”。
講演会って、内容よりも話し手の魅力で決まる部分が大きいですよね。
どれだけ良いテーマでも、伝える先生がハマらなければ響かない。
だから、ファカルティーの選定こそが講演会の“肝”だと思っています。
そこで、ここではファカルティー選定の基本ルートと視点についてまとめてみました。
🔹基本の選定ルート
- 自社講演会で印象的だった演者をメモしておく
→ 実際に「わかりやすく・伝わる」話ができる先生は貴重。
特に質疑応答の切り返しが上手い先生は、聴講者の満足度を大きく左右します。 - 学会で話の上手い先生を見つけておく
→ スライド構成や語彙選び、話の“テンポ感”まで参考になる。
※意外とスライド1枚目の入り方で力量が見える。 - マーケティング部門・上司・他エリアMRから情報収集
→ 社内に蓄積された“実績ベースの評価”を活用する。
特にマーケは全体戦略を把握しているので、「今後推したい演者像」を押さえやすい。 - 担当医からの推薦をもらう
→ 「あの先生とディスカッションしたい」といった推薦は、
講演会の一体感を生むきっかけになります。
🔹追加で意識しておきたい選定視点
- 「このテーマを語れる“立場”の先生か」
→ 論文実績や学会発表数だけでなく、実際にその課題を日々診療で体験しているか。 - 「聴講者の層」との距離感
→ 例えば地域連携を目的にするなら、“大学よりも市中で活躍する実践派”を軸に。
逆に新薬導入期なら、“ガイドライン策定にも関わるアカデミック寄り”が信頼感を高める。 - 「話し手の相性(コンビネーション)」
→ 座長・演者の組み合わせも重要。
相性が良いと会の雰囲気が格段に良くなる。
座長が上手く話を引き出せるタイプだと内容が“生きる”んですよね。
ちなみに、私は自社で講演いただいた先生で聴講できた内容は、エクセル表に自分なりの感想を数行記載して管理しています。
こうすることで、企画を考えるときにどの先生にご講演いただくのが良いのかすぐにイメージすることができるのでおススメですよ。



とりあえず有名な先生にお願いすればいいじゃん!ってことでもないのね



とりあえず“有名な先生”じゃなく、“このテーマを一番リアルに語れる先生”を選ぶこと。ここがセンスなんですよね。
社内会議は「通す場」ではなく「最終確認の場」
正直、ここまでくると、もう企画ってほとんど出来上がってるんですよね。
エリア課題が見えていて、
どの先生にお願いして、どんなメッセージを届けるかも頭の中にある。
だから、本当にできるMRは社内会議の時点でこう言うんです。
「これでいきたいのですが、よろしいですか?」
これが理想的な形。
ゼロベースで「じゃあ座長どうします?テーマは?」なんて言ってるうちは、
企画ではなく“思いつき会議”です。
講演会って、その場で作るものじゃない。日々の積み重ねの延長にある。
だから、社内会議は「通す」場ではなく「確認する」場。
すでに完成している企画を、上司や関係者に安心して任せてもらう──
その“完成度”が勝負です。



上司が“もうこの企画は通すしかないな”って思うぐらい作り込んでおくのが理想ですね。
先生への打診は「情熱×準備」がすべて
まず、座長の先生にお願いする際は、
企画書を1枚スライドにまとめておくことが必須です。
構成としては──
- 会の概要(テーマ・目的)
- 企画の背景(エリア課題)
- ファカルティー候補(演者案)
この3点を一眼で伝わるようにまとめておきましょう。
打診の流れとしては、一般的に
座長の了承を得てから → 演者へ依頼
の順番です。
そして一番大事なのが、座長への“温度”の伝わり方。
ただ「お願いします」ではなく、
自分がいまこのエリアにどんな課題を感じているのか、
なぜこのテーマを取り上げたいのか、
その課題を解決するために先生の力が必要であることを、
熱を持って言葉にすること。
先生方は敏感です。
こちらの“気持ちの温度”を確実に感じ取ります。
なんとなくのテンションで話してしまうと、
先生も「まぁ、仕方ないから引き受けるか…」という空気になりがち。
それでは、良い講演会は生まれません。
逆に、情熱が伝わる打診をすると、
座長としての先生も自然とギアが上がります。
「せっかくなら良い会にしよう」と本気で向き合ってくださる。



温度の低い企画書は、一瞬で見抜かれます。まず自分が燃えてないと。
演者打診は「座長の意見を立てながら、こちらの意図を伝える」
座長の了承が取れたら、次は演者選定のすり合わせに入ります。
このとき大事なのは、
「今、我々としてはこの課題を最も語れるのは○○先生だと考えています。」
と、明確な提案を出すこと。
あくまでこちらの意見として提示しながら、
「もちろん、座長の先生のご推薦もぜひ伺いたいです」と添える。
この“両方向のバランス感覚”が非常に重要です。
座長の意見を尊重する姿勢を見せながらも、
自分たちが企画としてどんな方向を目指しているかは、
しっかり主導権を持って伝える。
正直なところ、ケースによっては
「このテーマならこの先生以外は考えられない」
という確信を持って話してしまうのもありです。
その場合も、
「我々としてはぜひこの先生でお願いしたいと考えています」と、
あくまで座長に“共感してもらう”形で伝えるのがポイント。
ここで重要なのは、“押しつけ”ではなく“巻き込み”。
座長の先生が「それなら私も協力しよう」と思ってくださる温度感をつくることです。



うわ~、まさに交渉だね。バランス感覚が問われるね。



そうなんだよ!“提案”と“譲る”の間にある絶妙な距離感。ここが一番の腕の見せどころだね!
演者打診は「座長の意見を踏まえて、熱を再構築する」
座長の先生から意見をもらったら、
その内容をベースにもう一度、自分の中で“打診理由”を組み立て直します。
単に「座長が推薦したからこの先生にお願いする」ではなく、
なぜこの先生がこのテーマに最も適しているのか。
どんなメッセージをこの会で伝えたいのか。
ここを自分の言葉で再構築してから動くことが大切です。
また、自分の担当施設以外の先生に依頼するケースでは、
直接の関係が薄い分だけ、“熱”が伝わりにくくなります。
だからこそ、
「このテーマを語っていただけるのは先生しかいないと思っています」
と、企画の背景と自分の思いを演者担当のMRにセットで伝えること。
そして、他の担当MRに依頼する場合は、
「この会はこういう背景で立ち上げていて、先生にぜひこの部分をお願いしたい」
と、なぜこの会にその先生が必要なのかを明確に説明しておくこと。
頼む側の熱が中途半端だと、
そのまま“温度の低い打診”になってしまいます。
依頼をお願いする側のMRが情熱を代弁できるよう準備するのも主幹の仕事です。



担当外だからこそ、こっちの本気が試される。企画の魂はバトンみたいなもんです。
本当の勝負:「招聘」で講演会は決まる
演者の先生からOKをもらえたら、正直ここからが本当の勝負です。
講演会は企画で8割決まる――なんて言われることもありますが、実際に成功を左右するのは「招聘」なんですよね。
正直、内勤業務が多くて大変なのはよく分かります。
でも、この部分だけは気合いと執念でやるしかない。
すみません、元も子もなくて。
今は全国で講演会が乱立していて、
先生方もMRも、どこか「またか…」という疲弊感があります。
そんな中でも、診療を終えたあとに時間を割いて講演会に参加してくださる先生方には本当に頭が上がりません。
だからこそ、“来てもらう努力”を怠らない。
これが企画責任者として一番の肝です。
招聘で必ず声をかけるべき対象
- 病院の先生方
- メディカルスタッフ(薬剤師、看護師、CRCなど)
- 関連施設・地域連携病院
- 薬局関係者
- 同僚の担当先
- 全国への発信(必要に応じて)
正直、私はうざがられるのを承知で、
仲の良い先輩や後輩にも直接電話して「案内してもらえませんか?」と頼みます。
これは直接じゃないと意味がありません。
相手も暇じゃありませんのでメールだと流されておしまいです。
もちろん、逆にお願いされた時は全力で恩返しします。
そして何より大事なのが、「直前の追い込み」。
最低限の参加人数が見えてくると、どうしても“安心感”から手が緩みがちになります。
でも、最後の3日間が一番の勝負どころです。
ここで踏ん張れるかどうかが、結果を分けます。
メールでの案内やリマインドは、当日でもまだ間に合う。
勝って兜の緒を締めよ、です。
当日運営の極意:勝敗は“チーム編成”と“事前設計”で決まる
1) まずはチーム編成──経験者を最低1人入れる
講演会当日の運営は“現場対応力”が命。
上司が来てもファカルティー対応で動けないケース、ありますよね。そこを支えるのが手が動く経験者。
- 必須:運営経験者を最低1名
- 役割分担の例
- 司令塔(全体進行・突発対応)
- 受付/リマインド(名簿・領収書・名札)
- 演者・座長ケア(導線、控室、タイムキープ)
- 配信・機材(音声・投影・録画許諾)
- 会場係(席誘導・温度・動線)
- 招聘フォロー(当日の参加状況のモニタリング)
重要なのは主幹のMRは基本的に役割は”フリー”にしておくこと。
何かあったときにいち早く動けるように人員を配置しましょう。
2) スタッフマニュアルは“映画の絵コンテ”のつもりで
会社のテンプレをなぞるだけでは事故る。
目を閉じて、開始から撤収までを頭の中でリプレイして書き出す。
- 時系列チェック(抜けがちな要素)
- 受付動線
- 座長・演者の控室・トイレまでの導線/待機呼び込みの合図
- スライド差し替え・動画音声テスト(各PCで再生確認)
- 質疑のマイク運用/リモート質問の拾い方
- 休憩・終了アナウンス文面(誰が、どのタイミングで)
- 交通案内の手順(タクシーチケットの確認)
- 撮影・録音の可否/権利表記の掲示物
- 片付け・忘れ物回収・落とし物連絡の動線
- トラブル想定
- 回線不安定/代替配信URL
- HDMI非対応/変換アダプタ一覧
- 音が出ない/ミキサー初期化手順
- 登壇者遅延/オープニング延長台本
とにかく、具体的に自分の頭の中でイメージしながらリハーサルを繰り返すことです。
これは経験値も必要ではありますが、難しければ講演会慣れした先輩にダブルチェックしてもらいましょう。
3) 最高レベルの礼儀と気遣いが、会の価値を底上げする
座長・演者・参加者は、診療後の時間を割いて来てくれています。
当日は、自分の気遣いレベルを最高値に上げておきましょう。
こちらはあくまで例でありますが、
- 講演前は集中したい先生が多い。過度な会話は避けて目と雰囲気を見て必要最小限に。
- 聴講に来ていただいた先生にもしっかりお礼を伝える。ファカルティー対応で盲点になりやすい。
- 部屋の温度や飲み物が届いているかなど細かいところまで気配り。
礼を尽くすことで、講演会の価値は何倍にも高まります。
先生方も人間。誠意をもって接することで、信頼関係が深まるんですよね。
終わった後こそ差がつく:講演会後の“ケアと締め”



やっと講演会終わったみたいだね…。
本当にお疲れ様。



いや~良い講演会になったね!
でも、終わった後もまだまだ気が抜けないんだよね。
講演会が終わったあとの内勤、正直しんどいですよね。
経費精算、芳名録の整理、報告書の提出…。
会が終わって気が抜けたタイミングで一気に襲ってくる“事務地獄”。
でも、ここを後回しにするとミスが増えるだけです。
疲れていても、できるだけ早く片づける。
私は、翌日の午前中にすべて終わらせて、午後は思い切って有給を取ることもあります。
だって、正直もうヘトヘトですからね(笑)。
ファカルティー・聴講者へのお礼メールは“心を込めて”
忘れてはいけないのが、先生方へのお礼です。
演者・座長の先生方、そして忙しい中聴講してくれた先生方への感謝は必ず形にして残しましょう。
講演会終了直後に送る猛者もいますが、私はそこまでの気力はありません(笑)。
むしろ、あまり早すぎると「作業感」が出てしまうような気もします。
私は翌日に少し落ち着いてから、丁寧に感謝の気持ちを込めて書く派です。
先生方も人間。
“形式的なメール”よりも、“あなたの言葉”が伝わる一文のほうがずっと印象に残ります。
同僚への感謝も忘れずに
自分の担当施設の先生を招聘してくれた同僚、運営を支えてくれたスタッフ。
そうした仲間へのお礼も意識的に言葉で伝えるようにしています。
「昨日は本当に助かりました。○○先生も喜んでおられましたよ。」
「おかげで会がスムーズに進みました、ありがとう。」
こういう一言があるだけで、
次に自分が講演会を企画したときも、快く協力してもらえる関係が築けます。
そして、講演会は“やりっぱなし”にしない
講演会は、終わってからが本当のスタートでもあります。
翌週以降、できるだけ早いタイミングでファカルティーや聴講していただいた先生方を訪問しましょう。
- 「昨日の講演で印象に残った点はどこでしたか?」
- 「今後、○○の領域で感じておられる課題はありますか?」
- 「このテーマ、今後こういう形で深堀りしてみたいのですがどうでしょう?」
このような“振り返りディスカッション”を通じて、
次の活動のヒントが必ず見えてきます。
講演会をただ実施することが目的ではなかったはずです。
講演会を開催したことで何が得られたのか、その点検作業を一番大事な作業になります。
まとめ|“頼まれてやる会”から“仕掛ける会”へ
講演会は、思いつきではなく日常の蓄積で勝ちます。
課題を見つけ(構想)→仲間を口説き(打診)→来場をつくり(招聘)→事故なく回し(運営)→学びを回収する(フォロー)。この一連を“温度高く・設計深く”やり切れるかが差です。
本日のポイントまとめ
- 課題起点:会議でテーマを捻らない。現場の“違和感メモ”が出発点。
- 適任主義:有名かどうかより「このテーマをリアルに語れる人」を座長・演者に。
- 1枚企画書:テーマ/背景課題/目的/座長・演者案を1スライドに集約=説明が強くなる。
- 招聘が勝負:直前3日が山場。病院内外+同僚経由まで“来てもらう努力”を継続。
- 運営はチーム戦:経験者を核に、主幹は“フリー”で全体最適に動ける配置。
- 礼を尽くす:当日の気遣いが会の印象を決める。内容×丁寧さ=価値。
- やりっぱなし禁止:お礼・内勤・振り返り訪問までが講演会。次回のタネを必ず回収。
仕掛けて、巻き込み、走り切り、回収する。
このサイクルを自分の型にできたら、どの会社でも戦えます。
では、また!


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